小嶋です

今日は一日さえない天候でしたね。
cozimaでは料理サロン2日目でしたが、1月から数えて、今月で
6回目となりみなさんわきあいあいの雰囲気の中楽しいサロンと
なりました。

さて、今日は当店エントランス左側の壁に掛けてあります、銅鍋を
御紹介したいと思います。

またまた古い話になりますが、あれは96年の冬の話になります。
初めてイタリアの修行に出たばかりで、イタリア語もほとんど話せなかった
時のことです。
縁あって一軒目の修業先が当時イタリアで3件しかなかった3つ星レストラン
ダル・ペスカトーレに入ることが許されました。
そこはミラノから東に約100キロほどのところにあるカンネット スルオリオ
というに、まさに田舎の中の
田舎、店の周りには家もほとんどなく、よくこんなところで人が住んでるな、
といった感じの所です。しかも周りにはウシさんなんかがいっぱいいるらしく
コエの香りが漂っているようなすごい所です。

北イタリアの冬はほとんど太陽を見ることがなく、96年という年は非常に寒さが
厳しく気温がマイナス9度などあたりまえでした。
言葉もままならない私は正直ホームシックで、落ち込んでいつもどんよりした
空を眺めては「嗚呼 この空は日本とつながってるんだろうな〜」なんて結構
ネガティブな毎日を送っていました。
常に仕事に追われ、なぜか時々みかける夕焼けに哀愁を感じたのを昨日のことのように
覚えています。

ただ、少しずつ言葉わわかるようになりイタリアの仕事の進め方や彼らとの付き合い方
に慣れてくるとそれらの気持ちも吹っ飛び、やるぞ〜〜〜〜〜という感じになっていった、
3年間のイタリア滞在での大切なターニングポイントになった時期でもありました。

そんな時、ナターレと言ってイタリア人にとって一番大切な日、そうです。クリスマスです。
そのクリスマスの休暇を利用して近郊の都市マントバに出かけたときのことです。
街には人がごった返しピアッツア[広場]には様々な露天が立ち並んでいます。

そこで私の目をくぎ付けにしたのがこの2枚の銅製の鍋でした。
アンティークもので、年季がいい具合に入った上物です。
しかもそれが結構安くて、思い切って2枚購入したのを覚えています。

ダル ペスカトーレのエントランスにもアンティークものの農機具やオブジェが
たくさん飾ってあり、ちょっとそのイメージでいつかお店をもったら・・・・
と大切にとっておいた銅鍋です。


あれから14年がたちましたがもちろんcozimaのエントランスにはその想い出のたくさん
詰まった銅鍋が飾られています。

ちなみに今年の初め、神田君がこの大切な大切な銅鍋を落として取っ手がとれてしまった時、
うれしそうな笑顔で笑っていたことも私にとって一生忘れられない想い出になりそうです・・・・・・