小嶋です

皆さんお元気ですか?

今日から数回にわたり、シリーズでcozima店内にある備品、小物を
紹介させて頂きたいと思います。
これらは、ほとんどが私小嶋が、イタリアでの修行時代にお店を出したとき
を夢見て、なけなしのお金をはたいて買い集めた思い出の品ばかりです。

皆さまにはお食事にいらした際、目にすることなどがあると思いますが
それらがどんなものなのか?あるいは、どんな思いがつまっているのか?
などを知って頂き、楽しくお食事のお時間をお過ごし頂けたら幸いです。

まずトップバッターはポレンタマシーンの登場です。
これは私が1998年フランスワールドカップのあった年にミラノの東、およそ
100キロのところにあるブレーシアのミラモンティーラルトロという当時一つ星
(現在は2つ星)のレストランで働いていた時に買ったものです。

この店ではフランス人シェフのフィリップと、ここのマンマの2人シェフの店で、
フィリップの最先端のクリエイティブな料理と、マンマの伝統的な料理が、メニュー
に重なり合う、モダンとクラシックが見事に調和された素晴らしいレストランでした。

フィリップからはテクニックを学びましたし、マンマからはハートを学びました。
このレストランのコースの中で必ず出てくるのが、ポレンタというトウモロコシの粉で作った
マッシュポテトのようなピューレと、コテッキーノという温かいサラミのようなものを
合わせたこの地方のトラディッショナルな料理です。

いらしたすべてのゲストに出すこのポレンタはトウモロコシの粉を沸騰したお湯に溶いて
約40分弱火でゆっくり練り続けなければならず、とってもヘビーな仕事です。
そこで生まれたのがこのポレンタマシーンです。

ここでは直径1メートルくらいの超特大鍋でポレンタを練っていて、いつもこのマシーンは
すばらしいなあ〜と思っていました。
そんなある、地元の超大型ショッピングモールにバスで買い物に行った時、ついに
幻のポレンタマシーンを、偶然にも発見してしまったのです。
値段は確か40万リラくらいだったかと思います。当時のレート3万円くらいです。
当時の私の月給が50万リラだったので、即決はできませんでした。

ブレーシアには半年いましたが、ついにここを離れる最後の休みに決心しました。
「今決断しなければ一生後悔する・・・・、日本へ帰ってポレンタやるんだろう・・・」
自分自身が心の叫びを素直に聞き入れ、ついに買ってしまいました。


それから1年後、日本の実家で懐かしい対面となり、早速ポレンタマシーンを組み立て
動かしてみようとしたときです
   ?      ?       ?
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私の頭は真っ白になりました。
イタリアのコンセントは日本では使えないんです。
そんなこと、今考えればフツーにわかりますが、当時の自分は全く考えも
及びませんでした。

というわけで今お店のエントランスにどっしりと構えている銅製の鍋は、すっかり
オブジェと化しています。

しかし、私の中ではこのポレンタマシーンは今でも、これからも大切なイタリアの想い出です。