小嶋です。

先日のブログでUSビーフ輸入再開についての自分の意見に、ある一件の(正確には2件)
のコメントが寄せられましたので、それにお答えします。

Kababaさん
コメントありがとうございます。すぐにKababaさんの日記を拝見させていただき、
おっしゃる意味を自分なりに理解させていただきました。
 この世にはリスキーな食材が他にももっとあるのに、USビーフだけ騒ぎ立てたりする
風潮はちょっと違うのでは・・・という事だと思います。
 Kababaさんのデータで何より驚いたのは、牛よりも、交通事故やカキの方が死亡率が高いと言う事でした。
少し物事を冷静に見るきっかけをくださって、感謝!感謝!です。
 先日のブログだともしかしたら、私がファッション的にUSビーフについて書いたと
感じる方も多いかもしれませんので、この場で、少し捕捉したいと思います。

 まず、私の立場を説明させていただきます。
 私は、職業として食に携わっている者です。
個人としてではなく、お店を構え不特定多数の、世界中のどのような方に対しても、
自由にお店に来店していただき、料理をお任せいただいたり、お選びいただくことによって、
1年間で、延べ 1万5千人以上の方に、7万〜8万皿の料理を、料金と言う対価を頂戴して提供しております。
 個人の趣味としてではなく、パブリックなレストランと言う場で、人の健康・命につながる、
生きる1番の源となる“食”という仕事をしていく上で、最も大切な事は、
「ウマイ」よりも、「安全な料理を正直に出す」ということです。
 自分は常にそのことを考え、スタッフにもそのことを言いつづけています。
 この問題で、職業人としての私にとって最大のネックとなるのは、
US産牛肉というものをユーザーが選べなくなると言う事です。
例えば、カキはレストランであれば必ずメニューに記すでしょうし、それなりに
お客様は食べない事を選択できます。フグも然りでしょう。
 しかし、牛肉という食材は私達の生活にあまりにも身近です。
例えばどこかで出てきたお弁当に、牛肉が入ってました。気になったので「この牛肉はどこ産ですか?」と、
聞けないでしょうし、多分周りには知っている人はいないのでは・・・
結局判断できなくなるのでは、と思うのです。
 レストランでも、今うちでは仔牛のだし汁は、「どこどこ産の何を使っている」とハッキリ答えられますが、
メニューの中に牛肉の名前がなくても、だし汁などで入っていることがあるのが現実だと思います。
その、作っている本人達ですら産地を知らずに作ってしまう事が、何よりも自分の料理を
食べに来てくださっているお客様に対して怖いのです。

 自分自身が業者さんに、国産牛のだし用肉を頼んでも、業者さんに在庫がなく違うのを
持ってきたとします。忙しくコミュニケーションが取れず、そのお肉でだしを取り、
知らずに使い、その結果、その料理を食べた人の将来を左右してしまう・・・
最悪のケースを常に考えていると、こんな事が起こりかねないと思うのです。
自分の仕事に真剣だからこそ、私は怖いのです。

 この問題以外でも、自分自身使っている食材に対して、きちっと責任を持って
Kababaさんや皆様に正直な仕事をしていきたいと思います。

Kababaさん、今回は本当にありがとうございます。色々と深く考える事が出来ました。
今後も、ご意見や、ご感想をお聞かせください。