平岸です。

2月からの新ドルチェのひとつ、 “抹茶のティラミス” 
について少しお話をしたいと思います。
実はこのドルチェには一年ほど前に伏線がありまして、ドルチェ場の
担当になって間もない私が小嶋シェフからの
「抹茶と桜と小豆で何かドルチェをやってみたい」
という提案を受けて、何度かの試作の末、抹茶のムースに桜のジュレ
小豆を添えたドルチェをお出ししていたということがありました。


それから一年を経て、今回またドルチェ担当に戻った私は、小嶋シェフから
「抹茶のティラミスを作ってクリームの中に栗を入れてみよう!」
という新しい提案を受けて、また試作の日々が始まる事になったわけです。
実は正直なところ、最初に「抹茶ティラミス」といわれたとき、私には
エスプレッソをしっかり吸い込ませた生地に抹茶味のマスカルポーネクリーム
が合うとは思えなかったのです。
栗が入るというのも今ひとつ味のイメージが浮かびませんでした。
ところが、実際試作品を作ってみると、コーヒーと抹茶の苦味や香りが
お互いにけんかすることなくまとまりを見せていて、細かく砕いて中に
混ぜ込んだ栗も歯ごたえのある食感を生み出し、このティラミスの完成度が
更に高まりました。
そして昨年と同じく、桜の花の塩漬けのジュレと甘い小豆煮がその下に
加えられ、全体に日本の春を感じていただける一皿になったと思います。
抹茶、エスプレッソとそれぞれ日本とイタリアの喫茶文化を代表するもの
ですが、これらをドルチェの皿の中で融合させ、且つ春を存分に表現してしまう、
シェフの発想力の豊かさを改めて感じる出来事でした。


COZIMAの一皿で一足早い春を感じていただければと思います。